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ペナンで沈没

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ペナンで沈没(マレーシア)

僕が乗った列車は、朝6時にバタワーズに到着した。その後、フェリーでペナンの中心都市ジョージタウンへ向かった。もともと通過だけと考えていたペナン。ペナンのリゾート地であるバトゥフェリンギに行くつもりも無く、僕はジョージタウンで適当な宿を探すことにした。

ジョージタウンは多くの人々と自動車が行き交う生活臭の強い町だった。疲れていたせいもあるが、この町の雑踏になかなか体が慣れなかった。安宿もいくつか見つけたが、あまり僕の興味を引くようなものがこの町に無かったので、僕は2日後のランカウィ行きのフェリーの切符の予約を済ませて、やっぱりバスでバトゥフェリンギへ向かうことにした。


ペナン(バトゥーフェリンギ)の海

僕はジョージタウンから93番のバスに乗った。ペナンの海岸線を走るこのバスは、タンジョンブンガという場所でバトゥフェリンギ行きのバスに乗り換えることになった。ジョージタウンから乗換え時間も含め、約1時間後に僕はバトゥフェリンギに到着した。

バトゥフェリンギはペナン最大のリゾート地とはいえ、ハワイやバリのようなリゾート感覚で行くと失望するであろう。確かに大きなホテルが大通りに面してぽつぽつ建ってはいるが、僕の第一印象は寂れた漁村のように感じた。時期が時期だったからか日本人はおろか観光客の姿もまばらで、大通りの賑わいも無かった。

しかしながらその分、静かにすごすことができ、僕にとっては好都合でもあった。パークロイヤルホテルのすぐ横にある小道を海側に入ったところにいくつかの安宿があり、僕はそのうちの一つであるババゲストハウスに宿泊することにした。

ババゲストハウスは華僑の方が経営する宿で、部屋も清潔で気持ちよかった。2階には海が見えるバルコニーがあり、いすとテーブルが置かれていて、そこでくつろぐこともできた。さながら日本海にある民宿のような風情のある宿だった。 せっかくペナン最大のリゾート地に来たのだから、一応僕は海に入ることにした。しかしこれが後々後悔の元になった。

ペナンの海はモルジブや南太平洋の島々の海のように透き通ったエメラルドグリーンの海ではなく、どちらかというと濃い緑色をしており、いかにもアジアっぽい海の色をしていた。しかし決して濁っているわけではなく、水はきれいだった。

海に入ってしばらくすると、左太ももあたりに激痛が走った。何か剣山でも押し当てられているかのような激痛で、僕は慌てて砂浜に上がった。左太ももを見ると、ミミズ腫れのようなものがいくつもできていた。どうやらクラゲに刺されたようである。しばらくじっとしていたが、患部は熱を発し始め火傷のように水ぶくれができた。その後も激痛は治まらなかったので、僕は一旦宿に戻ることにした。

宿に戻ると親切にも宿のオーナーと娘さんのムイリーが、患部の手当てをしてくれた。彼等は患部に何か漬物のようなものを丁寧にすり込んだ。すると不思議なことに腫れは引き始め、1時間もしないうちに痛みも消えた。


陽気な男性3人組。右からミッシェル、ジェシー、ハンス

すっかり海恐怖症になった僕は、その日の残り時間を宿のベランダで読書をしてすごした。読書をしているとき、再び海で騒ぎが起こった。

白人女性がうめき声を上げながら、海から上がってきたのである。再びクラゲの犠牲者が出たようである。どうやらこの時期のペナンはクラゲが大発生しているようで、以後僕はペナン滞在中に2度と海に入ることはなかった。

2日目、陽気な男性3人組がババゲストハウスにやってきた。彼等は国籍もばらばらで、イラン人のミッシェル、ルーマニア人のジェシー、トルコ人のハンスからなる異色3人組だった。彼等は出稼ぎでマレーシアに来ており、ペナンへは休暇でやって来たようだっだ。

リーダー格はイラン人のミッシェルで、がっちりした体格はいかにもボスの風格が漂っていた。彼等は皆とにかく明るく、僕にいろいろと話しかけてきた。いろいろ話しているうちに、話がイランの話になった。そして僕が今後イランに行く予定だと話すと、ミッシェルがテヘランに来たときに僕を家に招待すると言い出した。

何とも嬉しい申し出であるが、よく考えるとミッシェルにとって僕は会ってまだ30分もたっていない初対面の人間である。僕が本当にその申し出を受け入れていいのだろうかと迷っていると、ミッシェルはすかさず僕に家に来るためのタクシー代といってイランのお金で6000レアルを手渡してきた。

何の警戒心もないというか、その時僕はミッシェルの過剰とも思える親切心に疑問すら感じていたが、その疑問は僕が後にイランを訪問した際にすっきりと解消した。殆どのイランの人々は、たいへん親切なのである。

まあとにかく彼らの出現で、静かだったババゲストハウスが一気に賑やかになった。愉快な連中と一緒になれて嬉しかったが、ペナンは僕にとって最終日で、明日にはペナンからフェリーでランカウィへ行く予定である。

僕がミッシェルに今日がペナンの最後の夜だというと、彼等3人がディスコで僕のさよならパーティーをしてくれることになった。今日会ったばかりの僕に対してである。全くもってフレンドリーな3人組であった。

ババゲストハウスにて
オーナーの家族の方々


ペナン3日目、僕はまだペナンにいた。本来ならランカウイに移動する日なのだが、昨夜のディスコでれいの3人組にランカウイ行きを引き止められ、ミッシェルにランカウイ行きフェリーのチケットを焼かれてしまったからだ。確かにフェリー代はむだになったが、僕の気持ちの中にももっとペナンにいたいという気持ちがあったのでよしとした。

いよいよペナンで沈没モードに入ってしまった。僕はその後4泊もペナンでしてしまった。べつにペナンで何か予定が入っているわけでもなく、毎日昼間は宿のベランダでビール片手に海を見ながら読書をし、夜は3人組といっしょに近くのディスコやバーに繰り出した。初日に発症したクラゲ恐怖症のおかげで海に入ることもしなかったので、体はぜんぜん疲れなかった。

全く贅沢な時間の使い方をしたものである。本来、沈没というのは何ヶ月も同じ場所に留まることを指すが、もともと通過だけと考えていたペナンでの滞在は僕にとって十分に沈没に値することだった。

ペナンでの最終日、珍しく日本人が僕と入れ替わるかのようにババゲストハウスにやって来た。彼は栃木から来た半田君で、卒業旅行でペナンに来たそうだ。大学卒業後は5年間の予定でアメリカのミネアポリスに留学するそうである。真っ黒に日焼けした全身が印象的だった。僕は半田君とペナン最後の夕食を一緒にとった。

いよいよ出発の日となった。もうこれ以上、旅程を遅らせるわけにはいかない。僕は3人組と半田君に別れの挨拶をしてペナンを後にし、バタワーズから列車でタイへ向かったのであった。

(追記)

その後、イランに行った僕はテヘランでミッシェルの家族にすっかりお世話になった。残念なことに当のミッシェルは出稼ぎのため自宅にはいなかったが、代わりにミッシェルの弟さんであるナセルさん家族とナセルさんの友人であるアバスさんにいろいろとお世話になった。自宅にはナセルさんと奥さんと娘さん、それにミッシェルの奥さんとまだ生まれたばかりのかわいい息子さんがいた。

当のミッシェルであるが僕が長期旅行から帰国した約1年後に、突然金沢の僕の家にやって来た。彼はペナンで僕に会った後もテヘランにある自宅には戻っておらず、仕事を求めてアジアの国々を転々としていたようだった。そして今回日本にやってきたが、その当時日本はバブル崩壊の時期だったために、せっかく来たが仕事がなく、困っていた。

また金沢にやって来たのも運悪く平日だったため、僕は仕事のために金沢を案内してあげることもできず、結局一晩だけ家に泊まってもらい、お別れをした。せめてもの救いは、僕がテヘランの彼の自宅にお世話になったときに撮った彼の小さな息子の写真を、手渡せたことだった。

またペナンでの3人組の1人であるルーマニア人のジェシーであるが、ミッシェルによると残念なことに交通事故に遭い、亡くなったとのことであった。ご冥福を心から祈りたい。

 

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