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スメル火山

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スメル火山・ブロモ火山登山(インドネシア)

スメル火山(3676m)、ブロモ火山(2392m)はインドネシアのジャワ島東部に位置する活火山で、三泊四日のスケジュールで両火山を登ることができる。登山の拠点になる町はスメル火山がマラン、ブロモ火山がスラバヤになる。

スメル火山登山ルートにはネパールのトレッキングなどとは違い、ロッジや茶店の類はなく、ラヌクンボロとカリマティに無人の山小屋があるだけである。そのため食糧のほか、テント(又はツェルト)、シュラフ、火器などの装備が必要(ガイドの分は、彼等自身が用意するので不要)。また水場も無く、唯一ラヌクンボロにある湖の水を沸かすくらいである。

僕はジョグジャカルタからこれらの火山を目指したので、まずはスメル火山に向かうことになった。ジョグジャカルタからジャワ島の最高峰であるスメル火山に行くには、まずマランまでバスで8時間、マランからトゥンパンまでミニバスで1時間、さらにトゥンパンからグブラカーまでミニバスで1時間、グブラカーから先にあるガダスやスメル火山の登山基地であるラヌパニ村までは公共の交通手段が無いため、合計20キロを徒歩で行くか、ジープやオジェッ(バイクタクシー)をヒッチハイクしなければならない。実に不便な場所にあるのだ。

このルートを公共の手段で行く場合、下手をすれば丸一日以上を移動に費やすことになり、時間の無駄である。僕は少々高くつくが、ジョグジャカルタの旅行会社で専用車をチャーターして、ラヌパニ村へ行くことにした。専用車代は日本円で約¥6650、まあ仕方がない。

スメル火山・ブロモ火山登山は事前の情報が乏しく、行き当たりばったりの珍道中になったので、以後は日記形式にしてご紹介しようと思う。



ガダスの村より眺めたスメル火山


スメル火山登山のスタート地点、ラヌパニ村

・一日目 ラヌパニ村→ラヌクンボロ(泊) 3時間


早朝5時、昨晩ジョグジャカルタを出発した専用車は、順調にマランの町を走っていた。このまま行けばラヌパニ村には、遅くとも8時には到着する計算である。その後も快調なペースは続き、5時30分にトゥンパンへ到着、さらに6時50分にはガダスに到着した。もうここまで来れば、ラヌパニ村に到着したも同然である。ガダスからラヌパニ村までは8キロ、専用車なら30分以内で楽に行ける距離である。あまりにも順調すぎるので、少し不安になってきた。しかしその不安が、的中するのであった。

ガダスは遠くにスメル火山のいかつい山容を眺めることができる村で、雰囲気のよい山村といった感じの所だった。道はトゥンパンを出たあたりから未舗装の山道になっていたが、それでも専用車は順調に歩を進めていた。しかし先に進むにつれ道はどんどん悪くなり、ついに専用車はラヌパニ村まで6キロを残した時点で溝にはまり、スタックしてしまった。専用車は何度も脱出を試みたが、身動きがとれず、専用車でラヌパニ村まで行くのを諦めざるを得なくなった。この区間、4WD以上の車でないと、きびしそうである。

こうなるとラヌパニ村まで歩いてゆくか、通りかかったオジェッかジープをヒッチハイクするかのどちらかである。もちろん僕は登山の体力を温存するため、後者を選んだ。ほどなくオジェッが通りかかったのでヒッチハイクすると、ラヌパニ村まで約¥330と言い出した。完全に足元を見られてしまったが、料金交渉する時間がもったいないので、それで行くことにした。

何はともあれ9時40分に、無事ラヌパニ村に到着した。ラヌパニ村は特に何もない田舎の村だった。僕は登山に持って行く食料をここで調達しようと思っていたが、そんなものを売っている店など一軒も無かった。かろうじてお菓子屋を見つけたので、パンとビスケット、ミネラルウォーターは調達できた。まあ貧弱な食糧だが、我慢するしかない。少なくとも食糧はマランの町で調達すべきだった。

次に僕は登山ガイドを雇うために、村の奥の湖のほとりにある山小屋を訪れた。そこで自称スメル火山登山ガイドナンバー1のノトという男性と、村の少年ポーターであるスポリョを一日約¥670で雇うことにした。ノトは40歳前後の小柄な男性で、顔は怖いが実は気さくで面倒見がよい山男だった。スポリョは僕から言わせると、単なるやんちゃ坊主かクソガキで、登山中は期待通りに生意気にもタバコをふかしていた。

僕は恐らくこの村で唯一食事ができる山小屋で昼食をとることにした。登山中は粗食となるので、僕はメニューの中で最もヘビーなカレーライスを注文した。昼食を終えて12時40分、いよいよ登山を開始した。

一日目の行程はラヌクンボロと呼ばれる湖までである。ゆっくり歩いても4時間あれば到着できる距離であるが、僕は登山中の食事の件とは別に一抹の不安があった。このスメル火山登山を開始するまでに、僕はタンクバンプラフ火山、パパンダヤン火山、ガルングン火山、メラピ火山とインドネシアの火山をたて続けに登っており、既に僕の体力は限界近くにきていたのだ。特にメラピ火山登山は予想以上にきつかった。そのメラピ火山に登ったのが、何と二日前である。

もしスメル火山登山がメラピ火山のときのようにハードなら、僕の体力は三泊四日どころか三時間も持たない。僕は本当に急坂が続くのなら、1時間くらい歩いたところで、ガイドに「ベリー・ハード・トゥ・マッチ」とでも言って山小屋へ引き返し、シャワーでも浴びて一日中寝てやろうと覚悟して出かけた。

道は田んぼの脇をすり抜ける小道から始まり、その後は谷に沿って歩を進めていく。幸い道は緩やかな登りである。やがて約束の1時間が過ぎたが、坂は急にはならなかった。少し拍子抜けした気分だが、これくらいの坂なら問題なさそうである。道は谷をどんどん詰めていくように延びているが、依然として緩やかな登りである。僕の歩くペースはますます速くなり、気がつくと視界が開け、美しい湖が姿を現した。ここが一日目の宿泊地であるラヌクンボロである。15時30分、僕はあっけなくラヌクンボロ(2400m)に到着した。

ラヌクンボロは湖のほとりに無人の山小屋が建つだけの場所だった。ラヌクンボロに到着するや否や、ガイドのノトは湖に出て、優雅にも釣りを始めた。山小屋で寝ることもできるが、窓にはガラスが無く吹きざらしになっているので、僕は湖畔で持参のツェルトを張ることにした。残るは夕食の準備であるが、僕の夕食はパンとビスケットなので時間はかからない。

しばらくしてノトが湖から、魚を釣って戻ってきた。どうやら夕食のおかずにするようである。ノトとスポリョは山小屋で火をおこし、魚を焼き始めた。さらに彼らは湖の水を汲んできて、米まで炊き始めたのである。明暗くっきりである。僕の無言の要求を察したのか、ノトは僕にも夕食を分けてくれた。もちろん僕もパンとビスケットをお返したが、恥ずかしい限りである。


この美しい湖のほとりにラヌクンボロがある。


ラヌクンボロにある山小屋 吹き抜けで夜は大変寒い。


山小屋が寒いので、湖畔で持参のツェルトを張る。


ガイドのノト 釣った魚を自慢げに見せている。

・二日目 ラヌクンボロ→カリマティ→アルコポド(泊) 3時間

今日はスメル火山アタックキャンプであるアルコポドへ行く日である。僕は早々に朝食を済ませ、6時50分にラヌクンボロを出発した。歩き始めは丘を直登する少しハードな道だったが、この丘を越えると再び平坦な草原の道になった。草原はやがて森林に変わり、森林の中を緩やかに登っていった。やがて森林の登り坂が終わると、目的のスメル火山が姿を現した。

スメル火山は富士山のような完全な円錐形の火山であるが、その姿はいかつくて、山肌は火山灰にすっぽりと覆われて灰色に光り、所々に深いひび割れが走っていた。山頂火口では数分おきに鳴動と共に小噴火が起こり、常に黒々とした噴煙を上げていた。またスメル火山は富士山よりもちょうど100メートル低い標高3676メートルの山なのだが、小噴火の度に積もる火山灰で、将来的には富士山より高い山になるだろうといわれている。スメル火山は今も成長を続けているのである。

その後、道は下りとなり、その道を下り切った所がカリマティである。8時45分にカリマティに到着、カリマティはスメル火山の眺めが最もよい場所で、無人の山小屋があった。しばしここで休憩を取り、9時55分にアルコポドを目指して出発した。そしてアルコポドへはカリマティから1時間ほどの距離で、10時55分に到着した。

アルコポドはスメル火山の円錐形のコーンの付け根辺りにあり、周りを森林に囲まれていた。アルコポドには山小屋が無いので、僕は再びツェルトを張ったが、ノトとスポリョはシートを木にくくりつけて屋根にしただけだった。まさかこれで一晩は過ごさないだろうと思ったが、何と彼らはこれで一晩過ごした。


カリマティの山小屋 ここも寒い
後方に、スメル火山が見える。


アルコポドから見た、噴煙を上げるスメル火山
山頂はもう少しである。

アルコポド ここには山小屋どころか何もない。

昼間だというのに、空がどんどん暗くなってきた。暗くなるだけならよいが、雨でも降ってくれば悲惨である。雨が降れば、ツェルトではフライシートが無いため、浸水は免れない。ただツェルトがあるだけまだましなほうで、ノトとスポリョはさらに悲惨な状況に追い込まれる。

案の定、雨が降り始めた。夜になるにつれて、雨足は激しくなり、やがて雷を伴う豪雨となったのである。当然、ツェルトの中は寝る前から、水が川のように流れていた。

もう眠るどころの騒ぎではない。徐々に気温も下がり始め、じっとしていられなくなった。僕は寒さに体温を奪われないように、ビスケットをかじりながら、エネルギー温存に努めた。そして僕は一晩中、ツェルトに浸水してきた水をかき出す作業をしていた。外で休んでいるノトとスポリョは大丈夫だろうか。まじで心配になってきた。




スメル火山山頂
これは絵はがきから拝借した。

・三日目 アルコポド→カリマティ→ラヌクンボロ→ラヌパニ村(泊) 6時間45分

朝になっても雨の勢いは衰えることなく、降り続いていた。心配されたノトとスポリョは無事生きており、雨の中ぴんぴんしていた。それにしても彼らは何という強さだろう。僕と身体的構造自体が違うのかもしれない。

今日はスメル火山登頂予定の日であるが、生憎の豪雨である。ここまで来て山頂まで登らないのは、実にもったいないことである。

アルコポドからスメル火山山頂までは2時間ほどである。今の僕のペースなら、もしかしたら1時間くらいで登りきれるかもしれない。現にアルコポドからスメル火山山頂は見えている。



僕はどうしようか迷った。しかし冷静になって考えてみることにした。はたして豪雨の中、山頂まで登って、何のメリットがあるだろうか。もちろん眺めなどは期待できないし、いい写真も撮れないだろう。

唯一、スメル火山に登頂したという事実だけが残るのみである。雨水を含んだ火山灰の斜面は歩きにくく滑りやすいだろうし、スメル火山の活動も活発化しているように思われる(後で聞いた話だが、ちょうど1ヶ月ほど前に、ドイツ人登山者がスメル火山山頂にて、火山弾の直撃を受けて亡くなったそうである)。いろいろ考えた結果、僕は山頂に行くのを断念した。

6時50分、僕はラヌパニ村に向かって下山を開始した。7時25分にはカリマティに到着、山小屋で朝食をとった後、再び出発した。ラヌクンボロは素通りして、ひたすら豪雨の中をラヌパニ村を目指して下りていった。13時35分、ついにラヌパニ村の山小屋に到着した。今夜はこの山小屋で一泊し、明日のブロモ火山登山に備えることにした。


ブロモ火山の砂の海を行く


すると突然、噴煙を上げるブロモ火山が現れる。


ブロモ火山は日本の阿蘇山に似た火山である。

・四日目 ラヌパニ村→テングルクレーターの入口→ブロモ火山山頂→チェモロラワン(泊)

いよいよ登山最終日になった。天気は昨日とはうって変わって快晴。僕は6時45分にラヌパニ村を出発し、ブロモ火山に向かった。ブロモ火山は巨大なテングルクレーターの中に聳える、標高2392メートルの活火山である。

ラヌパニ村からテングルクレーターの入口までは6キロで、ガダス方面へ来た道を戻ることになる。

さらにそこからブロモ火山までは火山灰でできた砂漠を12キロ歩くことになり、トータルすると18キロとかなりの距離になるが、アップダウンが少ないため案外に楽に歩ける。



ブロモ火山山頂の巨大な噴火口



チェモロラワンの高台に登れば、手前に噴煙を上げる
ブロモ火山、 後方にスメル火山を眺めることができる。

まずテングルクレーターまでは1時間で到着、その後クレーターの底までひたすら下った。クレーターの底に着くと、しばらくは草原の中の道が続くが、やがて火山灰の荒涼とした砂漠の中を横断する道に変わった。太陽光線に照らされた砂の海はかなり暑く、汗が滝のように流れ始めた。さらにもうしばらく行くと、左手に噴煙を上げるブロモ火山が姿を現した。

このまま真っ直ぐ進めば、今日の宿泊地のチェモロラワンに到着するのだが、まずブロモ火山に登ってから向かうため、僕はコースを少しずつ左寄りに変えて進んだ。そしてブロモ火山の真下の登り口に到着した。

登り口といっても、ブロモ火山の場合はすぐ手の届きそうな所に噴煙をあげている山頂が見えている。すぐに山頂まで行けそうな気がするが、ブロモ火山も数日前に登ったガルングン火山同様、山頂まで一直線の長い階段が付けられていた。その数246段、ガルングン火山の620段には及ばないが、十分に長い階段である。どうやらインドネシアの登山関係者は、階段が好きらしい。僕は階段を一気に駆け上がり、11時15分にブロモ火山の山頂に到着した。

山頂には巨大な噴火口が口をあけており、轟音と共に噴煙を空高く噴き上げていた。それにしても火山ガスの臭いがひどい。噴火口の周りは道が付いているので歩けそうであるが、あまりにも火山ガスが鼻をつくので、僕は早々に山頂を後にした。

ブロモ火山からチェモロラワンまでは歩いてもすぐの距離だが、馬に乗って行くこともできる。僕は折角だから馬に乗ることにした。そして馬の背に揺られながら40分、12時55分に終点のチェモロラワンに到着した。

チェモロラワンはラヌパニ村と違って、かなりツーリスティックな村だった。ここは登山目的でない観光客も多数訪れており、特に欧米からの観光客の姿が目に付いた。村には多くのホテルやレストラン、土産物屋が軒を連ね、一気に俗世界に戻ってきたような気分になった。ここからバスやフェリー乗ってその日のうちにバリ島やスラバヤへ移動できるが、僕はチョモロラワンに一泊することにした。

そして翌日、僕はまずチェモロラワンからプロボリンゴまでミニバスで2時間で行き、プロボリンゴからフェリーとバスを乗り継いで、バリ島のデンパサールまで行ったのだった。所要約9時間。

 

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